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第80回 甲村健一

『夏の休暇』

8月に入りようやく長い梅雨が終わった今年の夏は、少し早い夏の休暇から始まりました。札幌に在住しているサラリーマン時代の先輩(新郎)と私の同期(新婦)からの結婚式の招待で、北海道へ訪れるきっかけを頂き、久しぶりの休暇をとり、大自然を満喫してきました。

約20年前、私が大学に入学し建築家を目指し始めていた頃、建築に関し何も知らない私に衝撃的であった安藤さんの「水の教会」や、何も不自由なく生活しているのに満足感を感じることのなかった学生時代に感動をおぼえたドラマ「北の国から」のロケ地である富良野を訪れ、忘れかけていた大切なものを感じ取れたような旅となりました。

最初に訪れた「水の教会」は、トマムのホテル内の挙式施設として今でも年間200組程の挙式をしているようでしたし、見学者は今尚多数来ているようでした。人工的に造られた水盤でではあるものの自然に調和したスケール感や、アプローチのシーン展開は、あの当時雑誌を見ながら感じたものと同じ、新鮮に体に染渡る感動をおぼえました。建築を学び始めて来年で20年目を迎えますが、改めて原点に戻れるようなそんな気持になりました。

また、トマムと程近い富良野にも行ってきました。建築家気分は捨て、観光客気分で妻とのんびりと。ドラマで創られた黒板五郎さん家の数々を拝見してきたのですが、そんな空間からも今の自分に言い聞かせる何かが、倉本聰さんのメッセージとして伝わってきたように感じました。「家ってなんだろう」と素朴な自問自答をさせてくれました。自分自身があの素晴らしい景色・大自然の美しい環境の中で実生活が営めるかは、疑問も残るのですが、ここで暮らしてみたいという気持や、都会で暮らすことってなんだろうと考えながら帰ってきました。
(実際私自身が宿泊先のトマムで39.5度の熱をだし、夜病院に運ばれてしまったのですが、病院まで1時間半。便利に慣れてしまった私に、いろいろ考えさせてくれた旅でもありました。)

訪れた2箇所は建築的にはまったく異なるものなのですが、大自然と空間との何かに共通性を感じ、自分に感動を与えてくれたことは確かでした。今はそれを理詰めで考えることを避け、その時感じた純粋な気持を保ちながら、自分の創る空間にも反映できたらと感じています。

2006/08/14

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