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第63回 増田 奏

『 続:左か右か 』

 このコラムページで 前回の私のコラムに
「鏡は左右を逆転するのに 上下は逆転しないのは何故か?」
というクイズを投げかけましたところ 幾つか回答や反応をいただきました

「左右って ただ言葉の問題に過ぎないんじゃないの?」
「重力の影響で 上下は決まっちゃってるってこと?」
「左右じゃなくて 前後が逆転してるって言いたいわけ?」等々・・・

いずれも曖昧なもので 自信満々な回答はありませんでしたが
もっとも「それっぽい本」やインターネットで調べてみても やはり曖昧です

「左右という言葉を 概念として意識してしまう」=記号論的解説?
「重力に抵抗して直立している人間達の共有感覚」=生物学的解説?
「左右対称に見える人体のうち 心臓の鼓動だけ
  一方に片寄っていることからくる特別な感覚」=医学的解説?
「遥か遠い宇宙の異星人と 信号だけの通信で
 上下左右あるいは表裏・虚実を互認できるのか」=対称性理論?
「左右でなく前後が逆転してる ウラオモテ主張」=設問に異議あり説?

私個人としてはこれまでは最後の「前後逆転ウラオモテ」説を支持してました
ちょうど 教室で先生が出した難問に対して 正答する学生も見事ですが
問題自体に含まれる誤りや矛盾を鋭く指摘する学生はもっとカッコイイ!
と思うような 少しひねくれた性格のためかもしれません

さて 寄せられた御回答の中から ひとつを選んで 
約束通り ささやかな賞品を差上げることにいたします
(賞品は何かって? そりゃ決まってんじゃないですか・・・ハハ)
受賞者は 関東学院大学の女学生 N.B. さんです
彼女の回答とは・・・
「左」という漢字は鏡に写してみると 字としてはあり得なくなる
「右」という漢字も鏡に写してみると 字としてはあり得なくなる
 ところが 同様に鏡の中で
「上」という漢字は「下」という漢字が逆立ちしてるみたいに見えるし
「下」という漢字も「上」という漢字が逆立ちしてるみたいに見えます
 だから鏡は「左右」を台無しにするけど「上下」は守ってくれるのです
というものでした

じつに 幾何学的 記号論的 図像学的 デザイン的で 
そして 人間的ユーモアに溢れている回答ではありませんか

かくして私も予期せぬ回答が「ワケシリ顔の諸説」を粉砕してしまったのです!

2006/04/15

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