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第56回 甲村健一

『誕生日』

今回のコラム提出日の2月11日は私の37回目の誕生日でした。一般的に歳を重ねるごとに特別な日ではなくなるとか、誕生日がきて歳をとるのがいやだとも言われますが、自分はなぜか未だになんとなくウキウキする特別な日です。幼い頃から自分の誕生日が祝日(建国記念日)だったせいか、家族や友人に祝って頂く機会が多く、そんな思い出がそう思わせているのかもしれません。

いつ頃からなのか、このような「人生の特別記憶に残る日」が少なくなってきたような気がしています。何となく忙しく過ぎていく日々に流されている感じさえしていて、「あれはいつだったっけ?」と忘れてしまうことばかりになってしまっているようです。ただそれでも誕生日だけは私にとって記憶に残る日であり、特別なイベントというものはないものの、最近では、妻が作ってくれる誕生日ケーキが楽しみになっていて、そんな節目にいつも次の目標をたてているような気がしています。皆さんにとっては、誕生日はまだ特別な日ですか?

つい先日こんなことがありました。
久しぶりに訪れたお客様のお宅で(建物を子供にたとえられ)、「この子も5歳になりました。大事に使わせていただいています。だって甲村さんのお子様のようなものですもんね。」と言って頂きました。確かに私にとって、設計した建物は、子供のようなものなのですが、会話の中で竣工日が特別の日として表現されることに、とてもうれしさを感じました。

良いことか、悪いことか、いまや私にとって建物を創る事は仕事を超えた趣味のように楽しくなっています。我々住宅を設計させて頂く建築家は、何となく業界的に竣工をもって、一区切りという印象があるのに対し、竣工が「誕生」と思えることができる集団です。昨年末から建築業界そして建築家の役割に不信感をいだかせてしまっている事件がおきていますが、本来我々の仕事は、感動を与えることのできる恵まれた職業です。お客様とともに誕生を喜び、長い間愛され続けていただけるものをこれからも創り続けていきたいと、今年の誕生日にあらためて感じ、それを目標にしました。

2006/02/16

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