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第286回 諸我尚朗

『 割れてないペアガラスを取り替える? 』

写真の家は17年前に2世帯住宅として設計しました。
定期的にメンテナンスをしてきましたが、想定外のことがありました。
というのは、割れてもいないペアガラスが、数ヵ所曇ってしまったのです。
メーカーによるとガラスとガラスの中空スペースに結露が発生しているためとのことです。

では何故結露が発生するのかというとガラス端部のスペーサーには乾燥剤が入っていてそれを挟み込み小口をシールしてあるのですが、経年劣化も含め何かの拍子に雨水が侵入してしまい飽和状態となってしまったのでしょう。
「え~ペアガラスって一生ものじゃないの?」と、こうなるのです。
もっとも10年保証はあるようなのですが、それにしてもせんべい袋の中にはいってる乾燥剤が目に浮かんでくるようなローテクっぽさ、気持ちもどんより曇るのです。

とにかく取り換える段取りをしました。
サッシュ枠内にセットされている障子を外しその障子を分解してガラスを入れ換えるのですが、通常、内部側に外せるので、作業は何階であっても部屋の中からできます。

ところが、 今回1ヶ所だけ、公道に面した妻側それも3階の丸窓は外側にしかガラスが外せないことが判明したのです。
と、いうことは状況として、仮設足場が必要であり、たった一枚のガラス取り換えのための費用はクライアントの顔をひきつらせるのに充分でした。
(現在は内側に外せるので問題ないようです。)

「何とか費用のかからない方法を考えてみましょう。」ということになりました。

業者さんからの提案もあり高所作業車をチャーターすることになりかけたのですが、90センチもある丸窓それもペアガラスは重く作業性は悪いはずです。
3階には道路からスムーズにアプローチは出来ても取り換え作業は困難をきわめるのでは・・・

その後二の足を踏んでいる、そんなある時閃きました。
そうです 一見畑違いの 看板やさんです。
彼らがビルにローリングタワーを使って作業をしていたのを見掛けたことがありました。
この方法があったのです。早速旧知のサイン屋さんに手配をお願いしました。
取り換え当日はサッシ屋さんサイン屋さん設計事務所の総勢8名で万全の体制のもと半日ですべてを終えることができました。 写真はその時の作業風景です。

たまたま過去の 現場で、職人さんたちがそれぞれのプロセスを経て作り上げていく様子を見ているわけですが、恐らくふ~とそのシーンが浮かんできたのかもしれません。

建築が長く使われていくということは、建築していくということと同時にメンテナンスをしていくということも考えながら設計をしているつもりでしたが、まだまだ修行が足りないな~と思った次第であります。

2015/05/22

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