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第280回 服部郁子

『 いまはもうない 』

先日、今はもう無くなった仕事としてLamp lighter (点灯夫)が紹介されているのをあるところで読んだ。それで思い出したが、小学生だった頃家の周りの街灯にはスイッチが付いていて、夕方点灯しに行くのが楽しみだった。朝は、多分早くに出勤する人などが消していたのか私がスイッチを切った記憶はない。はじめはスイッチに手が届かず、手が届くようになった時の嬉しさが思い出される。
ゲームも塾も子供向けのテレビ番組さえほとんど無かったあの頃は、何か面白いことがないかと自分のテリトリーをほっつき歩き、薄暗くなると家に戻りお気に入りの本を読み返す毎日だった。
同じように繰り返される、幾分かの退屈と期待感のまざりあった日々を、空想と隣り合わせで過ごしていたあの頃、追う事も追われる事もなく時間は自分と一緒に流れていた。
2015/02/06

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