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第28回 豊田 悟

『陽だまりのネコ』

弊社の事務所は自宅兼用。1FのLDKと和室をリフォームして使用。そのまま庭へ出られる。手入れの行き届いた庭ではないがそこそこの広さ。来客用ミーティングテーブルの横からはサルスベリの木と水仙が直ぐ近くに見える。

いつから住み着いたのか、10年以上は近隣をうろついている1匹の野良ネコがやって来る。

当初は親子(母と娘ネコ)でうろついていたが、残念ながら娘ネコは交通事故で他界。その後、母ネコだけで生きている。
ネコ年齢は6〜7歳、人間でいうと何歳ぐらいなのか?大変器量良し。姿・形も美しい、さらに美声。大したものだ。

2年前から午後3時の休憩時間に餌をやり始める。野良ネコに餌付けをするとはなんてことか、、。(しかし、暗黙のうちに近所2、3件のネコ好きな家庭では以前から実行していたこと。元々、我家の物置小屋の下がお気に入りの場所でもあったらしい)

定刻になると、ミャーミャーと大変甘い声で鳴き始める。窓ガラス越しにスタッフに目で合図しエサをもらえるまで鳴き続ける。建築主との打合せ中もお構いなし。
ネコ好きな方は直ぐ気がついて「かわいい!お宅のネコちゃんですか?」、すかさず「いいえ、違います。野良ネコなんですよ」建築主曰く「それにしても、毛並みもつやつやしてきれいなネコですね。」「ありがとうございます」、、とわけのわからない返答。

エサを食べ終えるとサッサと姿を隠し、知らん顔。呼び止めようが話しかけようが、目的を達するまでは甘い声で媚をまくが、後は全くの知らん顔。その冷たさが又、いい!遅くなって帰宅する時は、たまに偶然路上で鉢合せするが、一瞬キラリと光る目で睨み付ける。「毎日エサをやってるご主人様だぞー」と思っても、その毅然とした美しい姿には何も言えなくなる。

犬はお人好し(?)と言うが、ネコはクールで人を寄せ付けないと言われるのがわかる気がする。野良の身でありながら、侘しさ感も漂わず、いつも美しく、理由はわからないがプライド高そうな感じが漂う。 いつの日かオスネコ群集団がやって来ていたが、それにつきものの激しい鳴き声は聞こえず、キーっと一撃の元で追いやったのだろうと想像してしまう。

孤高の野良ネコ。今日も彼女は白い水仙の間でのうのうと日向ぼっこをしている。
我々は彼女のエサ代をひねり出すため、コツコツと働くのである。
2005/02/28

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