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第26回 安田博道

『自転車』
僕は事務所まで自転車で通勤している。自宅から事務所まで15分程度だから、朝の出勤はちょっとした運動になる。寒い冬は、手袋をしてスニーカーのひもをキュッと結んで、気持ちの準備をしてから「いざ出勤」である。寒気の中、風を切っては走ることで、身も心もしゃきっとする。

今愛用している自転車は僕のご自慢の自転車である。軽量化の為にフレームはアルミ製、変速ギアやライトなど無駄なものは一切ない。折り畳み式なのでパタパタと畳んで手ごろのバックに詰め込んで、肩にヒョイと掛ければ電車にだって乗れる。

購入した頃は、畳める事を最大限活用して(というか、その効用を使わない手はないと無理矢理)電車に乗ったものだった。鎌倉、月島、湘南台、あちこちに電車+自転車のプチ旅行に出かけた。鎌倉では、建築見学をした後お花畑を抜けて東慶寺の小林秀雄さんのお墓参りに行ったり、月島では昔ながらの路地に自転車でのこのこ入っていって長屋生活の雰囲気を楽しんだりした。

帰宅はいつも夜更けになるのだが、最近の事、行く先に警官が2人路上に立っていた。ちょっと不吉な気がしたのだけど案の定呼び止められた。職務など一通りの質問の後、車体ナンバーをチェックされ盗難車の確認をされた。問題ない事が判明すると丁重に帰っていいよとの旨だったが、別に悪い事はしてないのにその場の雰囲気が緊張を強いる。恐らく無灯だったのが原因なのだが、でも横浜の町は夜も明るいし、何より軽さを追求していることを僕は最大限支持しているのだからまあしょうがない。(でも良い子はマネをしないようにね)

さて、そんな自転車でも問題はある。最大の問題は「パンク問題」であった。車輪の小さい自転車の構造的な問題で、後部ホイールとタイヤが噛み合うところの摩擦力が大きいため磨耗しやすくなっていて、何度か修理したがしばらくするとすぐにまたパンクを繰り返していた。その度に閉口したのだが、最近知り合った自転車屋さんに相談したところ、噛み合う部分に何かを噛ませば大丈夫かもしれないという事で、ゴムを挟み込んでくれた。案の定、パンクはしなくなった。以前の自転車屋さんでは、数カ月でタイヤを交換していたため結構ランニングコストがかかっていたが、この自転車屋さんのおかげでその後はパンクが一度もない。自転車屋さんありがとう!(しかし、修理の機会が減ってしまい、技術のある自転車屋さんほど儲からないとはちょっと不条理ですね。)

そんなこんなで、僕の生活に自転車は欠かせない。それは機能上便利ということもあるが、むしろ自転車が呼び込むプチアクシデントが、日常にちょっとした変化をもたらし、少しだけ潤いを添え、僕の生活をいくらか豊かにしてくれるためだ。そんな使い手の生活に影響を与えるような住宅を設計出来ればいいなと思う。
2005/02/15

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