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第254回 栗原正明

『 例えば、手帳を選ぶ時 』

「こだわりのひと品」と言うテーマでarea045の建築家がそれぞれ文章を書く事になって、順番が回って来た。
こだわると言う言葉は、最近では良い意味で使われる事も有るようだけれど、あまり良い感じがしない。
手元に有る三省堂の新小辞林で「こだわる」を引くと、「1.さしさわる。2.かかわる。拘泥する。」と書いてあり、「拘泥」は「こだわること。一つの事にとらわれて、融通のきかないこと。」となっている。
できれば仕事の上でも生活の上でも、物事にこだわらないで済むようにしたいものだと思う。
しかし周りの人達から僕を見ると、こだわる事が多いと思うかも知れない。
例えば、手帳を選ぶ時。
毎年年末になると次の年に使う手帳を買うのだけれど、地元の文具店には気に入る物が無くて、わざわざ出掛けた先の店で選ぶ事になる。
そしてこれから1年間使うのだからと考えて、どうしても慎重になってしまい、あれこれ迷ってしまう。
下手をすると何時間も売り場をうろうろし、一旦買うと決めた物を棚に戻し、やっと買ったと思ったらまた後悔し、別の物に買い換えたり2冊目を買ったりする破目になる。
何か一つに決めて毎年それを買えば楽なのだけれど、使ってみて完璧と言う事はやはり無いし、もっと良い物が有るような気がして、結局別の物を探してしまう。
そして最近では、最善の手帳を決める事は諦めて、毎年違う手帳を使う事を自分なりの方針にしている。
短所が有ってもそれなりに工夫をすれば大抵補えるものだし、補えない場合でも1年間だけ我慢すれば良い訳だ。
新しい種類の手帳を使い始める新鮮な気持ちを毎年味わえるのは楽しいし、その手帳の特徴を思い出に結び付けるのも悪くない。
一つの物にとらわれていないのだから、こだわっている事にはならないと思うのだけれど、一つの考えにとらわれているとすれば、やはりこだわっている事になるのだろうか。

2013/07/30

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