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第24回 田井勝馬

『終の棲家;墓?』
最近、気になるホームページの記事を見かけた。戸塚区にあったあのドリームランドの跡地に、横浜市が公園墓地の整備計画を進めているそうだ。

ドリームランドといえば幼い頃に懐かしい思い出がある場所。観覧車ワンダーランド・ジャングル探検船・潜水艦・・・確か2002年に閉館したとおもう。それ以降この跡地の利用方法を巡っては紆余曲折、永い間利用計画が決まっていなかったことを記憶している。

横浜市がこの敷地を買い取ったことは新聞で知っていたが、その跡地利用を公園主体とした墓地と野球場からなる公園を整備するとは、中田横浜市長にはなかなか感心した。墓地の完成は平成18年、公園全体としては平成20年を予定しているらしい。

さらに驚いたのが、その墓園としての計画コンセプトである。一般的に墓といえば、キュービックな石を縦に積み上げ、お塔婆が立ち並び、なんとも一種独特な雰囲気というか神聖な空気をかもし出している風景を思い浮かべる。ところがその墓園イメージ図(パース)にはまったく異なった風景として計画されていて、墓園の形態もまた大変興味深い。

墓園の形態には3つのタイプ(コンセプト)がある。

・芝生型イメージ;芝生の公園に四角いプレートが墓石の代わりに、ある一定間隔に整然と並べられている。そのプレートの下にカロート(骨壷をいれるスペース)を設置するそうだ。そこにはお塔婆は無い。まさしく映画に出てくるレクイエムの風景そのもの。(スクリーンでは軍服を着た男と、その家族がプレートに花をささげる風景を連想してしまうような墓園そのもの)。

・合葬式慰霊碑型イメージ;一つの建物にみんなで入る形態。建物の中(地下)に棚を設け、骨壷を纏めて収蔵する納骨形態とその施設。そしてその中心に慰霊碑を置くタイプ。

・合葬式樹木型イメージ;シンボルツリーや低木、芝、花等で覆われたマウンド状の区画にまとめて骨壷を土中に埋蔵するタイプ。埋蔵者の氏名は一括してプレートに記載。

そもそも日本の古い慣習として、その家を代々守るのは“長男のつとめ”とされていたのが当たり前であった。当然その家の墓も同様に受け継がれていた。ところが核家族化が進み、親とは別々に生活する世代がふえているのが現状。よって墓もあらたに設けざるを得なくなってきた。がしかし墓も安くはない。とくに私営霊園は特別に高いそうだ。かといって公営の霊園はなかなかの順番待ちとのこと。そんな墓事情を横浜市も検討していたのだろうか。おどろいた。

がしかし、どうだろうか?自分らしいライフスタイルを住まいに求めている世代が、従来型の墓に入れるのだろうか。かといって公園型イメージの墓に入るか?楽しいからみんな一緒の合葬式?今の私も含めた世代にとって、墓の存在とは何なのだろうか。またのその形態とは・・・ちょっと考えさせられた、そんな記事だった。

墓にも自分らしいスタイルが求められ、建築家が提案するときが、いつかやってくるような気がするのは私だけだろうか。
2005/02/01

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