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第164回 高橋晶子

『 横浜の好きな場所 』

「横浜の好きな場所」と言うにはささやかですが、夏の季節、いつも事務所に通う道のなかで印象的なスポットがあります。それは、馬車道と16号の交差点です。より詳しく言うと、交差点の伊勢佐木町側でタワーマンションの側ではない地点です。ここに来ると、確実に周囲より体感温度が低いと実感できます。すぐ隣に尾上町交差点があり、こちらは容赦なく熱気が迫ってきますから比較してみてください。
理由は単純で、ここにある大きく成長したクスノキのおかげだと思います。いつもその木陰で信号待ちをすると涼しく、微風が気持ちよいです。道路の舗装材もアスファルトではなく、広場状空地が広いことにもよるでしょう。
この場所は、横浜市都市デザイン室が主導して、70年代に整備が進んだエリア内にあります。1978年に出版された雑誌(SD)が横浜の特集を組み、京都で学生生活を送っていた私はそれに興味を覚えて横浜観光に上り、伊勢佐木町や元町などを歩きました。その時の演出感にあふれた印象も覚えていますが、すっかり日常化した現在では、ビジュアルをあらためて意識をすることがなくなりました。でも、夏のこの感覚は繰り返しても衰えないばかりか、ますます意識に上ってきている気がします。
たぶん、体感が私の中で、一種の詩的感覚になっているからだと思いつつあります。

2009/06/25

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