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第135回 土田拓也

『 せんたくもの 』

住宅設計の要望に「洗濯物が人から見えないようにお願いします」
というのが、毎回のように上げられる。
私としても、その方が良いと思っていた。
でも最近なーんか違う。

先月ヨーロッパを旅していて、どの街でも露骨に洗濯物がぶら下がっていた。
しかしそれを見て、不快な気持ちになったりはしない。
むしろ何か暖かい気持ちになれる。

先週、以前竣工させてもらった住宅に遊びに行った。
今までは、洗濯物が見えない設計を行ってきたのだが、この住宅では、そのようにはしていなかった。
天気も良かったせいか、布団に靴にウェットスーツなどが干してある。
そして、外からでも奥さんが食器をいじる音がした。
なにかそれがとてもヒューマンというか、「いい感じ」。

そこで人が生活しているという印というか、脈々とした力強さみたいなものを感じさせられる。

家というのは、その家族がその土地に暮らした証みたいなもので、決してショールームではない。
だから、洗濯物が干してあったり、庭いじりをしたスコップが立てかけてあったりして、初めて「家」として成立するような気がする。

そんな人の暮らしが見えるような設計をしていきたい。

2008/06/28

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