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第130回 北川裕記

『 もう新緑? 』

先月発売された建築雑誌に11年間勤めていた設計事務所で最後に担当した建築が完成して掲載されていました。工事期間なんと9年間。図書館とコンサートホール、あわせて延床面積約9万m²の大規模建築です。

敷地は中国の深圳(しんせん)、香港に隣接する経済特区です。気候区分ではおそらく亜熱帯にあたるところで、職場に通う道端にライチの樹が生えていたりして、ちょっとした南国気分でした。深圳には3週間ずつ3回、延べ2ヶ月程滞在しました。そのとき印象的だったのが夕方の驟雨です。ほとんど毎日のように夕方になると急に空が暗くなり、すごい勢いで雨が降ってくるのですが、15分程度で止んで、また空は明るくなります。

昨年の夏、私の住んでいるあたりでも何度かそんな驟雨がありました。地球温暖化が紛れもない事実として認識されて久しいですが、身をもって感じさせられた出来事でした。

今年の春もそんな温暖化の影響と考えられる現象が身近でいくつもあります。以前のコラムで紹介した自宅近くの公園では今日(3月26日)の時点ですでに桜が三分咲きです。昨年の開花も随分早かった記憶があります。とりわけ印象的かつ心配なのは、我が家から見える大きな欅の樹です。枝ぶりがきれいなので我が家では「別嬪さん」と呼んで、5月の新緑、夏の間の濃い緑、秋の紅葉、落葉から枝ぶりのきれいな冬のシルエットと、1年を通じて眺めを楽しんでいます。例年は5月の連休頃からうっすら緑の葉を出すその樹が、今年は先週末すでに芽吹いてしまいました。以前新聞に、落葉樹の欅が冬になっても茶色になった葉をつけたままでいるケースが紹介されていましたが、そんなことになってしまわないか、ゆくゆくは枯れてしまうような事態にならないか、とても心配です。

日々の生活のなかではっきり実感させられるようになってきた温暖化。住宅の作り方にも影響が出てくるのでしょうか。

2008/03/29

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