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第6回 伊東 智

『せつない金曜日…』

子供の頃、金曜日の夜になると不思議と気分がウキウキとしていました。特にイベントごとなどはありませんでしたが、鍵っ子だったせいか週末が待ち遠しかった。今思うと家族の時間を無意識に求めていたのかもしれません。そして時間は、刻々と過ぎ日曜日のサザエさんのエンディングソングが聞こえ、あたりが暗くなり、サザエさんが喉に焼き芋(?)をつまらせている頃には「ハア〜ァ…」という気分になるのも忘れられません。

大人になった今は、日々のいろいろなことに追われ「あれっ?もう金曜日が終わってしまう?」という感じで金曜日が過ぎていきます。その「あれっ?」と思わせるひとつが、夕刊に折り込まれているチラシの束なのです。夕刊よりボリュームがあるのでは?と思うくらいのチラシを1枚1枚覗いてみると、家電量販店のチラシ、墓地案内、車の試乗会などなど…ほとんど『週末にご家族でどうぞ。』みたいな内容で…でも一番興味深いチラシは、不動産関連のチラシです。職業上ということもありますが、今の職業を目指す前から住宅のプランが入ったチラシを見るのが好きだったのでついつい本気で見ていると、『○○駅より徒歩○分、日当たり良好!最多価格○○万円/○LDK』とあの小さなスペースに最大限の情報が盛り込まれていて、「これが人生最大の買物の第1歩になってしまうのか… 住宅流通のあり方が少しでも変わるならば、街並みも変わるのでは?」などと思い、悲しいひとりごとを言ってみたりしています。

悲しいといえば、もう一つが金曜日のドラマ『世界の中心で、愛をさけぶ』です。
ストーリーは、少年期に一途に愛した大切な人を白血病という病で失ってしまうという主人公の「喪失感」から始まる物語なのですが…。実に、せつないのです。もし月曜日に放映されていたならば、辛く悲しい一週間になるくらい心に重いストーリーです。
白血病で死ぬことを知ってからの主人公の彼女・亜紀の言葉の重さ、それを受け止め、考え行動する主人公・朔太郎を見ながら『自分ならどうするのか…』と考え見ていると、もう涙が止まらない状態になってしまいます。
特に最後『1987年 僕らにできることは、あまりにも少なすぎました。1991年 骨髄バンク設立』と出てきますが、色々な事を考えさせるエンディングです。
2つの金曜日の出来事は悲しみの種類に違いはありますが、私にとって生活に追われる事だけではなく、「今、何を感じ 今、何を考え 今、何が出来るのか」を考えさせられる金曜日となっています。

ちなみに、9/10金曜日の『世界の中心で、愛をさけぶ』は最終回スペシャルです。たまには人間、本気で号泣するのも、精神衛生上良いのかもしれませんね。
2004/09/08

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