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第4回  神田雅子

『covering〜「覆い」〜』
今週は先週に引き続きアテネオリンピックウィークですね。スポーツ選手の洋服、つまりユニフォームは、動きを妨げず、必要箇所を隠し、温熱環境を調整し、国籍や番号といった情報を記した必要最低限の機能をみたす究極の「覆い」といえます。もっとも、オリンピック出場選手は皆、鍛えられた美しい肉体を持っているので見ていて気持ちがいいですね。

ユニフォームを含め、洋服は男女問わず最も身近な「覆い」です。次に身近なところではメイク(化粧)があります。これも保護や隠すという機能と装飾という両方の意味を持っています。そうそう、建物も生活空間の「覆い」といえます。

さて、本題の、気になる「覆い」に入ります。

昔よくあったのはテレビやステレオのカバー、電話機の敷物と受話器カバーです。便座を暖めることが出来るようになって減っていますが、便座カバー。レンジやトースターにもカバー。理解しがたいのは、テレビなどのリモコンにサランラップでカバーをすることです。果てはティッシュボックスのカバーでしょうか、ドアノブカバーなんて、もう勘弁してください。

こういった、モノを覆うというそのココロを推測すると、高価なものにホコリやヨゴレやキズがつかないよう、触れたときに冷たくないようということがあるでしょうか。おそらく、それ以前は日本の住宅の中に少なかった金属や石油化学製品への無意識の違和感もあったのかもしれません。それらは決して時間を経て古びが出る素材ではないので、新しいままを維持したいという気持ちもあったでしょう。また、電化製品はすでにデザインされた覆いをまとって売られているのにも関わらず、生活空間の中に機械が置かれていることへの抵抗感もあったのでしょうか。

気になる理由は、すでに覆われているものをさらに覆うという過剰さと、その覆い自体の装飾性でしょう。先ほどあげたカバーには、なぜかフリルやレースや刺繍が付いていることが多いのです。海外の事例では上手にファブリック(布地・織物)を使ったインテリアもたくさんあるのです。中途半端でチープな真似ごとをするからうまくないのでしょうか。

そんな経験は今までにありませんが、そんな「覆い」が自分の設計した住宅空間に氾濫していたとしたら、それは、それこそ目を覆いたくなる光景です。

さて、あなたのまわりには、どんな覆いがありますか?
2004/08/25

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