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第1回 安田博道

『今日的上海事情』
今年の3月に上海に行ってきました。
中国の超高度成長は噂には聞いていましたが、上海の超高層建築ラッシュはすごかったです。
現在、市内に2800本の超高層が建っていて、計画中のものもあわせると5000本は越えるとか。バナナのたたき売りじゃないんだけど、超高層建築のバーゲンセールです。とにかくすごいエネルギーで動いていました。

ところで、今回、覚えた中国語に「ドュイドュイ!」というのがあります。
なにかにつけ、この言葉を耳にしました。例えば2人が会話をしてるとします。どちらかが「ドュイドュイ!」と言うとしますね。すると対する人はそのおしゃべりが尚一層流暢になり会話が弾んでいきます。興味深く思って、知り合いの中国人に聞いてみました。意味は「わかったわかった」とか「そうですね」とか、相手の言っているこ事に同意する言葉だそうです。

なるほど、僕らもよく会話の中で「そうそう」とか「うんうん」などと相づちを打ちますががそんな感じなのでしょう。「同意」(どうい)ってことなのかしら?と思ったのですが、漢字で書くと「対」となるそうです。

今回の上海を訪れたのは2度目ですが、前回は15年前。その時は中国がまだ本格的な開放政策をとる前で、日本からの旅行にもビザが必要でした。丁度天安門事件のあったその年です。

で、その時の旅行で覚えた言葉で記憶に残っているのは「メイヨー!」[没有]でした。メイヨーは、「無い」という意味です。デパートの売り場に行って、買い物をしたとき従業員から「メイヨー」という答えに何度も遭遇しました。そこにあるだろ!って品物が見えてるのにメイヨーと言われたこともあります。売っても売らなくても昇給に関係のない、まだ社会主義的な雰囲気が強く残っていて、やる気のない売り子さんばかりでした。「無いよー!」って言われてるみたいで、イントネーションが似ているだけに聴くだけで腹立たしくなったものです。

「メイヨー」と「ドュイ」なんと違うことでしょう。たまたまその言葉が耳について覚えてしまったのですが、前回の上海と今回の上海の違いを象徴しているように感じました。ネガティブとポジティブ、後向きと前向き、否定と肯定、どのようにも言えるのですが、勿論、前者が「メイヨー」、後者が「ドュイ」です。海の向こうには「ドュイ」によって加速的に動き始めた中国がありました。
2004/05/29

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